山本ブログ

山本が新規事業領域でつづるブログ。オプトインキュベーション本部所属。

東京コインサミット(v.0.6)にてパネルディスカッションに登壇

少し前になりますが、ご縁あって、東京コインサミットに参加させていただき、パネルディスカッションに参加しました。

 

Tokyo Coin Summit (v.0.6) / 東京コインサミット(v.0.6)

 

参加者は40人くらいだったでしょうか。

印象的だったのは参加者の3割から4割(ひょっとすると半分くらい?)が外国人の方だったということです。6、7個のセッション、プレゼンがありましたが、2つを除いて全て英語。

 

Bitcoin Jesusと呼ばれているRoger Ver氏の

"The government cant' regulate Bitcoin, Bitcoin regulate the government"

というコメントが非常に印象的でした。

 

これはBitcoinをInternetに置き換えても同じことが言えるのではないかと感じます。通信を遮断することでインターネットは規制されているかのように見えますが、実際はインターネットの力が大きいが故に情報を遮断しているわけで、振り回されているのは遮断をしている方だともいえます。そういう意味でインターネットによって情報が自由化されたようにBitcoinによって通貨が自由化されていくとも言えるのではないかと感じています。

 

登壇したパネルディスカッションでは主にビットコインを広めていくにはどうすればいいか、といった観点でのお話が多かったです。

 

ご縁をいただいた日本デジタルマネー協会大石さんが先日ホリエモンチャンネルに出演されていました。この回から9回連続でビットコインについて放送されるようです。

 

 

 動画の中でも言及されていますし、パネルディスカッションでも発言をしましたが、最初のウォレットを作るハードルは結構高いなと感じています。

 

どんなサービスでもそうですが、最初の一歩を踏み出してもらうのは大変ではあります。それを上回るメリットの提示など今後の動きに期待していきたいです。

 

ビットコイン インターネット以来の革命

まずはビットコイン、もしくはビットコインによって証明された仕組みがもたらす可能性についての識者のコメントをお聞きください。

 

Marc Andreessen(マークアンドリーセン)

What technology am I talking about? Personal computers in 1975, the Internet in 1993, and - I believe - Bitcoin in 2014.

「何のテクノロジーについて話をしているかって?1975年のパソコン、1993年のインターネット、そして私が信じるに、2014年のビットコインだ。」

(出典:Why Bitcoin Matters

 

Eric Schmidt(グーグルシュミット会長)

The ability to create something which is not duplicable in the digital world has enormous value

「デジタルの世界で複製不可能なものを作り出す能力にはものすごい価値がある」

(出典:Google Chairman Eric Schmidt: Bitcoin Architecture an Amazing Advancement

 

Fred Wilson(Union Square Venturesパートナー)

Bitcoin could be as "big as the Internet" in reshaping the world and spurring economic growth

「ビットコインは世界経済に恩恵をもたらすインターネットのように大きな存在になりうる。」

(出典:Bitcoin transformative as the Web, venture capitalist says

    超著名ベンチャーキャピタリスト、フレッド・ウィルソンがビットコインに関してコメント(翻訳))

 

Virtual currency, particularly bitcoin, reminds me so much of that time in the early '90s," said Fred Wilson, a partner at Union Square Ventures. "We are at beginning of an exciting time, not just for investors but for all of society.

「仮想通貨、とりわけビットコインは90年代初期を思い起こさせる。投資家だけだなく社会にとって心躍る時期がくる、今はまだその始まりに過ぎない。」

(出典:同上)

 

We believe that bitcoin represents something fundamental and powerful, an open and distributed internet peer to peer protocol for transferring purchasing power. It reminds us of SMTP, HTTP, RSS and BitTorrent in its architecture and openness.

「我々はビットコインがオープンなインターネット上のP2P売買における基礎的で強力な何かを表現していると信じている。ビットコインの構造とオープン性はSMTP、HTTP、RSSそしてBitTorrentを思い起こさせる」

(出典:Coindesk

 

Jim Breyer(Accel Partners)

I'm confident you will see major worldside retailers adopting systems built on bitcoin.

「世界の主要な小売業者がビットコイン上での取引へと対応していくのを見ることになると確信している。」

(出典:同上)

  

ビットコインと聞いて皆さんどんな情報を目にしますでしょうか?

仮想通貨、P2P、中本哲史、Mt.GOX、交換所、相場の乱高下、採掘・マイニング、ビザンチン将軍問題、ASIC、ブロックチェーン、秘密鍵、公開鍵、電子署名ハッシュ値、イーサリアム、カラードコイン、リップル、スマートコントラクト、性善説性悪説・・・さまざまな情報が飛び交っています。正直何が重要で、何が盛り上がっているのか、わからなかったです。。。数週間ほど前までは。でもだいぶ理解できてきました。

 

再現可能なものから再現不可能なものへ

相変わらずアメリカからは大きな買収のニュースが流れてきますね。

 

Facebook、メッセージングサービスのWhatsAppを190億ドルで買収。独立運用を継続

 

190億ドルってなかなか実感が沸かない額です(汗。もちろん全部が現金じゃなかったりもしますが。実現はしませんでしたが、同じくFacebookのSnapchatへの買収提案も話題になりましたよね。

 

Snapchat Spurned $3 Billion Acquisition Offer from Facebook

 

両方とも盛り上がり具合やユーザー数はもちろんすごいのですが、最近のトレンドとして、”今そこでしか起こり得ないこと”がさらに人気になっているのかな~と感じます。

 

Snapchatはある一定時間を経過すると写真が消滅します。Whatsappもリアルタイムで会話をすることを楽しむアプリです。要はデジタルの世界であまりに複製が簡単になってしまい、誰もが同じコンテンツを手軽に楽しめるようになった結果、コピー可能なコンテンツよりも、コピー不可能なコンテンツの方に人気がシフトしているのではないかと思うのです。

 

 

音楽業界におけるライブの盛り上がりなどもその一例だと思います。

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出典:一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会

 

もちろん後からライブ映像を見たりすることもできるわけですが、実際にその場にいた人達との楽しみ度合いの差は大きいわけで、それもあって年々参加者が増えていっているのではないでしょうか。

 

ゲームでも同じ流れを感じたのがこちら。

Twitch視聴者のコメントで操作する「ポケモン」はおそらく史上最高のMMOソーシャルゲーム

MMOはMassively Multiplayer Onlineの略です。

元々Twitchというゲームプレイ動画ストリーミングサイトでは誰かがプレイしている、もしくは誰かと誰かが対戦プレイをしている動画をストリーミングするサイトでした。このサイトに、複数プレーヤーが主人公の動作をチャット入力欄から指示できる機能をつけたところ、100万人が同じゲームのプレイに参加し(チャット入力欄からコマンドを入力し)、1つのゲームをクリアしたとのことです。要は数100人、数1,000人単位で同じゲームを同時プレイしたということです。

 

THE CROWD DOES THE IMPROBABLE, COLLECTIVELY BEATS POKEMON GAME

↑こちらの記事によるとこのポケモンゲームをクリアする平均時間は約25時間のところなんと392時間、16日以上をかけてクリアしたというのです。

 

ゲームには「アナーキーモード」と「デモクラシーモード」があり、アナーキーモードだと入力されたコマンドは全部反映されるのだそうです。

 

つまり・・・

up

left

up

up

right

のようなコマンドが次々と入力され、全くゲームが前に進まない!という何ともストレスフルな状況が生まれことが容易に想像されます。デモクラシーモードでは一定期間内で最も多く投入されたコマンドが反映されます。動画を見てもらうとわかりますが、同じ動作を延々と繰り返していたりします・・・(笑)

 

 

 

いずれにしろ自分が思ったようにゲームが進むことはほぼ皆無と言っていいでしょう。こんなストレスフルなゲームに100万人が参加し、同時視聴者数が7万人を超える人気となったというのは、単純にマニュアルを見て25時間ほどでクリアする以上の面白さがあったからに他ならないのではないでしょうか。

 

これまでもYoutubeにアップされたゲーム動画は人気でしたが、どちらかというといかに早く、効率的にクリアしたか、面白いプレイの仕方などが中心だったのではないでしょうか。

 

それが今は、世界中のプレーヤーと一緒になって一つのゲームをクリアする、というコピー不可能な体験をすることに注目が集まっているのではないかと思います。ニコ動と同じ雰囲気かもしれませんね。

 

モバイルゲームでもこの流れ、来そうですね。

モバイルアプリが1000万ダウンロードされたTwitch, この機に乗じモバイルSDKをリリース

 

 

ソチオリンピック

ソチオリンピックが閉幕しました。4年に1度のオリンピックでは本当に様々なことがあります。2年に1回の世界選手権とは異なり、もしこの機会を逃したら、4年後ってもうかなり遠くに感じられるのではないかと思います。だからこその様々な、うれしさ、悲しさ、喜び、落胆などが起こるんでしょうね。改めて複数回出場している選手の偉大さを感じます。

 

今回のオリンピックに出場した選手のうち、浅田真央選手について二人の方から意見を聞く機会がありました。どちらも学びが大きかったです。

 

1人目は金融業界の方。

この方は、浅田選手はリスクマネージメントを間違えた、というのです。常に最悪を想定し、対応を考えておく。最悪の結果でさえも、”想定内”にすることが大事だと。特にオリンピックのようなトップアスリートが集まる場では技術面での差はわずか。となると勝負をわけるのは精神面でのコントロールになってくるということです。

 

そしてこのメンタルマネージメントをうまくやったのが、羽生結弦選手。というよりコーチのブライアンオーサー氏ではないかということです。この方、キムヨナ選手がバンクーバーオリンピックで金メダルを取った時のコーチですね。

 

さすが金融界の方。この方は株もやられている方で、相場の怖さみたいなものをご存知です。相場が動くのは当たり前。それを前提に、最悪のケースでさえも”想定内”とした上で勝負に勝つ。いかに”想定外”を作り出さないか、ということが勝負には大事だということです。

 

2人目はいつもお世話になっている美容師さん。

この方は浅田選手のメンタルタフネスについて言及されました。ショートプログラムからフリーまでの短い間であそこまでリカバリーできるのは素晴らしい。自分は、あるお客さんで失敗してしまうと、次のお客さんになっても引きずってしまう。ということでした。

 

確かにあの大舞台で一度メンタル面が落ちてしまった後にリカバリーするのは並大抵のことではないはずです。

 

お二人とも着眼点は異なるものの、メンタルコントロールの重要性についておっしゃっているのが面白いですね。

 

余談ですが、個人的にはレジェンドカルテットを是非見てみたい!と思いました。

山本昌投手(48歳)

三浦カズ選手(46歳)

伊達公子選手(43歳)

葛西選手(41歳)

 

葛西選手、41歳ですけど、こうやってみると最年少(汗)

 

Uberは新たな比較サービス

最近Uber for ~というサービスを目にすることが多くなりました。ざっとあげると・・・

‘Uber For Local Home Services’ Provider ClubLocal Launches In The Bay Area

Uber-For-Laundry Startup Washio Uses Ninjas To Get Your Dirty Clothes Clean

Behold Leap Transit: The Uber for city buses is nigh

Beeline Bikes Is Like A Homejoy Or Uber For Bike Repair

Uber-For-Beauty Startup StyleBee Brings Hair Stylists And Makeup Artists To You

Magic Does Exist With YC’s “Uber-For-Flowers” Startup Bloomthat

 

位置情報を使ったものや、On-demandなものをUber For~という表現をしているようです。

 

Uberの特徴的な機能は3つあると考えます。

1.位置情報を使った配車機能

2.運転手の評価をするレビュー機能

3.支払いを省略する決済機能

 

日本では現在地域限定(六本木)での導入に加えて、車のクラスも限定されています。このためか、高級タクシー配車サービスというイメージが今のところは強いのかもしれません。

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日本のUberサイト。UberBLACKのみ。車種は TOYOTA CROWN GRS200 LEXUS LS 460 NISSAN FUGA。

 

しかし、アメリカでは車に5つのランクがあります。

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  アメリカのUberサイト。uberX,TAXI,BLACK,SUV,LUXの5つのレベルがあります。一番ランクが低いUberXは、個人が運転手です。このためタクシー業界から訴訟を起されています。

 

1の配車機能と3の決済機能だけでも非常に便利です。日本だと駅前などのタクシー乗り場の長蛇の列を見ることがありますが、あれをやらなくてもよくなるということですし、降車時の支払い作業がないというのは急いでいるときじゃなくてもうれしいです。

 

しかしそれ以上に注目したいのが2のレビュー機能です。以前居酒屋タクシーなどが話題になりましたが、タクシーのサービスレベルって正直わかりづらいです。

 

もう2度と会わないし・・・

短い距離だから・・・

最低限目的地まで連れて行ってくれれば・・・

タクシーってそういうものだから・・・

 

という感じでこれまであまり注目されてこなかったのかもしれませんが、時々素敵なタクシー運転手と出会うことも事実。それは車種やビールを用意してくれるなどといった物理的なものだけではなく、会話がうまいとか、どうしてこのルートを通るのか、といった説明をきちんとしてくれる、といったソフト的なものもあるでしょう。

 

そういったことがUberのようなサービスでは可視化されるということですね。

Uberの競合であるLyftでは運転手の評価が低いと運転手ができなくなるそうです(出典:Lyft - Wikipedia, the free encyclopedia)。評価が低い、となるのは5点満点中なんと4.5点。かなり厳しいですね。

 

 レビュー機能自体は食べログなどに代表されるようにこれまでもあった機能ですが、位置情報と結びつくことによって、これまで可視化されてこなかった部分が可視化されつつあるということですね。

 

冒頭にあげたサービスだとStyleBee(Uber For 美容師)などは、これまで口コミでしか伝わりづらかった美容師さんの評判がわかるようになるかも。

 

位置情報×レビュー×決済 。

この観点で見ていくと新しいサービスが思いつくかもしれません。

 

イスラエルのスタートアップ

以前からも注目されていましたが、さらに注目度が増してきたイスラエルのスタートアップ達。昨年2013年は6月に無料のカーナビアプリを提供するWazeをGoogleが9億6600万ドルで買収。11月にはWixがイスラエルのスタートアップとしては最高額の1.27億ドルをIPOで調達しました

 

Wazeに対してはFacebookも買収をもちかけていたようですが、社員の勤務場所、本社の場所などについて折り合いがつかず、買収の話もなくなったのだそうです。そしてその後グーグルが買収。

 

イスラエルは「Start-up Nation」、つまり「起業の国」と呼ばれています。これは同名の著書から来ています。(和書の場合はタイトルが「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」)

 

Startup Genomeと呼ばれる3人の若い起業家によるプロジェクトがあります。このプロジェクトでは世界各地の地域を様々な要因から分析し、スタートアップにとってのエコシステムの完成度でランク付けしました

 

イスラエルの都市であるTel Aviv(テルアビブ)はその中で2位にランクインしています。1位はSilicon Valley(シリコンバレー)、3位はLos Angeles(ロサンゼルス)、4位はSeattle(シアトル)、5位はNew York City(ニューヨーク)です。上位5地域のうちテルアビブ以外は全部アメリカですね。

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 メディアでも今ホットなイスラエル発のスタートアップ、といった記事を見かけるようになりました。

The 20 Hottest Startups in Israel

The 20 Hottest Startups From Israel

 GetTaxiFiverrViberPrimeSenseCommerce SciencesMyHeritageなどが挙げられています。

 

こちらはPWCによるイスラエルのハイテク系スタートアップのイグジットレポートイスラエルのハイテク企業にとって2013年は歴史的に良い年だったと言っています。

M&A

・総額は64.5億ドル。2012年から16%の成長。

・大型案件があったのも特徴で、3件が26億ドル以上。

・平均ディール価格は8.59億ドル。

IPO

・総額は12億ドル。

・平均IPO額は1.98億ドル。

 

<その他>

M&AIPOの総額は76億ドル。1件平均は1.7億ドル。

・セクター別では1位ライフサイエンス、25億ドルのイグジット、平均1.9億ドル。

・その次がインターネットセクターで、21億ドルのイグジット、平均額は2.38億ドル。

 

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 2005年から2015年までのイグジット実績。2013年は平均ディール単価が1.7億ドルで過去10年以上を見ても最高。

 

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 セクター別。レポートには3年以前の実績も含まれています。ライフサイエンスは4年前に一旦落ち込みましたが、ここ3年伸びてきています。インターネットは2012年落ち込みましたが、2013年盛り返しました。コミュニケーションは安定的な伸びです。

 

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イグジットにおけるM&AIPOの比率。約85%がM&Aで残りがIPO。この比率はシリコンバレーとも似てますね。

 

追記

記事を書いていたら、Viber買収のニュースが入ってきました。

楽天、無料通話アプリ「Viber」を買収 - 固定への無料通話プロモーションも

Viber利用者数は世界で3億人、現在55万人/日で新規ユーザー登録を獲得中、買収金額は9億ドルだそうです。世界が注目していますね。 

  

M&A時のれん代償却不要に向けて

日経新聞によると、

M&A、のれん代償却不要に 再編支援へ政府検討 :日本経済新聞

 

日本の会計基準ではM&Aした際には一定期間をかけて減価償却しなくてはならず、企業の会計上の利益を圧迫するため、M&Aに対して企業が消極的だ、と言われてきましたが、これがなくなるかもしれないということです。以前googleの買収動向、日米ののれん償却の違いについてにて言及しました。

 

記事によると、

経済産業省有識者会議が27日に提言し、3月中に新制度の報告書をまとめる

 とのことです。シリコンバレーにおけるグーグルのような規模での買収をするような企業が出てくるかどうかはわかりませんが、M&Aがこれまで以上に事業成長に活用されるようになることが期待されそうです。

 

これからも注目していきたいと思います。