イスラエルのスタートアップ
以前からも注目されていましたが、さらに注目度が増してきたイスラエルのスタートアップ達。昨年2013年は6月に無料のカーナビアプリを提供するWazeをGoogleが9億6600万ドルで買収。11月にはWixがイスラエルのスタートアップとしては最高額の1.27億ドルをIPOで調達しました。
Wazeに対してはFacebookも買収をもちかけていたようですが、社員の勤務場所、本社の場所などについて折り合いがつかず、買収の話もなくなったのだそうです。そしてその後グーグルが買収。
イスラエルは「Start-up Nation」、つまり「起業の国」と呼ばれています。これは同名の著書から来ています。(和書の場合はタイトルが「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」)
Startup Genomeと呼ばれる3人の若い起業家によるプロジェクトがあります。このプロジェクトでは世界各地の地域を様々な要因から分析し、スタートアップにとってのエコシステムの完成度でランク付けしました。
イスラエルの都市であるTel Aviv(テルアビブ)はその中で2位にランクインしています。1位はSilicon Valley(シリコンバレー)、3位はLos Angeles(ロサンゼルス)、4位はSeattle(シアトル)、5位はNew York City(ニューヨーク)です。上位5地域のうちテルアビブ以外は全部アメリカですね。
メディアでも今ホットなイスラエル発のスタートアップ、といった記事を見かけるようになりました。
The 20 Hottest Startups in Israel
The 20 Hottest Startups From Israel
GetTaxi、Fiverr、Viber、PrimeSense、Commerce Sciences、MyHeritageなどが挙げられています。
こちらはPWCによるイスラエルのハイテク系スタートアップのイグジットレポート。イスラエルのハイテク企業にとって2013年は歴史的に良い年だったと言っています。
<M&A>
・総額は64.5億ドル。2012年から16%の成長。
・大型案件があったのも特徴で、3件が26億ドル以上。
・平均ディール価格は8.59億ドル。
<IPO>
・総額は12億ドル。
・平均IPO額は1.98億ドル。
<その他>
・M&AとIPOの総額は76億ドル。1件平均は1.7億ドル。
・セクター別では1位ライフサイエンス、25億ドルのイグジット、平均1.9億ドル。
・その次がインターネットセクターで、21億ドルのイグジット、平均額は2.38億ドル。
2005年から2015年までのイグジット実績。2013年は平均ディール単価が1.7億ドルで過去10年以上を見ても最高。
セクター別。レポートには3年以前の実績も含まれています。ライフサイエンスは4年前に一旦落ち込みましたが、ここ3年伸びてきています。インターネットは2012年落ち込みましたが、2013年盛り返しました。コミュニケーションは安定的な伸びです。
イグジットにおけるM&AとIPOの比率。約85%がM&Aで残りがIPO。この比率はシリコンバレーとも似てますね。
追記
記事を書いていたら、Viber買収のニュースが入ってきました。
楽天、無料通話アプリ「Viber」を買収 - 固定への無料通話プロモーションも
Viberの利用者数は世界で3億人、現在55万人/日で新規ユーザー登録を獲得中、買収金額は9億ドルだそうです。世界が注目していますね。